昭和16年4月に「総力戦研究所」という陸海軍のエリート軍人、霞が関の官僚、トップ企業の社員、大学教員、新聞社の記者という当時のエリートたちから構成された機関が発足した。総力戦研究所の使命は戦争を行った場合の戦力、国内の統治、思想、外交戦略、経済の多岐に渡る分析とシュミュレーションだ。そして昭和16年8月に総力戦研究所が出した結論は客観的なデータに裏付けされた「日本の敗戦」だった。しかし実際の政治はその結果を汲み取らず「開戦」という「空気」に流され、その目的に沿ったデータを作り戦争へ突入していく。