2010年11月6日

取次制度

 呉服の問屋は、生地や柄に明るいが、取次店は本に暗い。売れなければ返せばすむ商品なら、明るくなるまでもない。書名と著者の名と版元の名を見て、つまりカバーだけを見て、配本するかしないか、するなら何千部か会議で決めるという。
 あんなものが会議だろうか。本の値打ちは中身にある。それを全く知らないで、また知る気がなくて、カバーだけで鑑定するとは笑止である。この取次制度が、わが国の出版界のガンだとは、永年言われている。

山本夏彦「大取次」『茶の間の正義』
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