コノシロの産卵期は、毎年、春から夏にかけてで、その子が秋になると五~六センチのシンコとなって市場に現れるのである。
いまだに脂肪分には不足があるが、初ものの清新さもさることながら、そのやわらかい舌ざわりと淡泊さの中に秘められた、こまやかな味は、シンコのすしのみが持っている天下の美味であろう。
十一月の声をきくと、シンコは十二~三センチのコハダに生長して、脂肪も適度にのり、翌年の二月頃までが旬となる。コハダが冬の光りものといわれる所以。
シンコからコノシロまで、この魚は年中美味だが、コハダの大きさのときがもっともうまいとされているので、ここでは旬といっておく。