第一に、ソーシャルメディアを駆使して書き手と読者とダイレクトに接続する環境が生まれ、それによって書き手のいる空間がひとつの「場」となっていくこと。
第二に、電子ブックによってパッケージとしての紙の本は意味を失い、コミュニティの中で本が読まれるようになっていくこと。
第三に、セルフパブリッシングの世界では大手出版社かどうかは意味がなくなり、中小出版社でもあるいはセルフパブリッシングする個人でも、購読空間の中で同じようにフラット化していくこと。
セルフパブリッシングの時代には、出版社は二つの方向へと進んでいくでしょう。
①書き手との三六〇度契約
②スモールビジネス化
三六〇度契約とは、単なる本の出版契約だけではなく、その書き手が行うさまざまな活動ーー講演やトークショー、雑誌の連載、あるいはグッズ類の販売など、ありとあらゆる活動についてすべて一手に請け負ってPRや運営を行い、そこで得られた収入の一部を手数料として受け取るというものです。
佐々木俊尚 「電子書籍の衝撃~本はいかに崩壊し、いかに復活するか~」