2012年6月29日

アラーキーとマキナ

そう、マキナ。あれ不自由なカメラでしょ。シャッター・チャンスだと思っても、すぐにはシャッター押せなくてチャンスを逃しちゃうとかさ。でも街を撮るときには、そういう撮りにくいカメラがいいんですよ。そのほうがデコボコした街の感じ、自分の感じが出てくるわけ。(中略)マキナなんて覗いたってちゃんと写んないからね(笑)。実はアタシもきちんと撮ると上手いからさ、街を歩いてて、ちゃんとしたフレーミングのカメラで撮ると、ポカーン、ポカーンって街に四角い穴があいていくくらい、フレーミングが鋭いんだよ、本当は(笑)。だから、そういうふうにならないように、わざとマキナを使って、きちんとしたフレーミングにならないようにしているわけ。マキナだと、近づいてって、うっかりすると切れちゃうんだよ、首とか頭とか。あれがいいんだよね。

カメラが「名作」にならないようにしてくれるわkだよ。要するに、フレーミングよりも、そのときのコトっていうk,現場を優先する。だからマキナは必ず使ってるね。4,5台置いといて撮影するときも、パッと落とし前つけるのはマキナですよ。

荒木経惟『荒木経惟の写真術』
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