2012年6月25日

木村伊兵衛と土門拳

木村は、被写体となった人物を、周囲の雰囲気ごと金魚すくいのようにつかまえる。もろい薄紙の上でいきいきとはねる金魚のイメージ。撮られた人物が薄い印画紙の上で動き続け、枠から飛び出してくるように見える。
 一方、土門は対照的に、これと決めた瞬間を鈍器で殴りつけて強引に静止させたかのように撮る。まるでぶ厚い印画紙に焼き込めたかのようだ。

三島靖「木村伊兵衛と土門拳」 p. 24
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