写真家は案外に目の悪い人が多い。スナップする時には周囲、2,5mの状況が判断できればそれより遠くの状況は見る必要がない。
これが長年のスナップ術の極意とでも言えるものであった。
遠方は霞んでいるのであるが、それが全体の状況が「マッス」で認識できれば良いのである。その方が写真があがった時に、「二度驚く」ことが可能だ。
もともと写真とうのは、「われらを取り巻く斯くも茫漠とした世界は何であるのか?」という根本存在に迫る哲学的な行為であり、形而上学的なアプローチであった。
それが何時のころからか、単に押せば写るようになってから、写真行為は世界の認識ではなく、「常識の上塗り」になってしまった。
「猫は可愛い」とか「綺麗なお花」とか「女の魅力を追求」とか「富士山は我がテーマワーク」のような貧困なる視神経に隷属するようになってしまった。
PEN PEN チョートクカメラ日記